奈良時代から栽培されている柿は日本の風景にぴったりな果物。
夏はスイカ、冬はみかんなど季節を感じる果物は色々ありますが、柿は季節と同時に日本的な趣を感じさせてくれます。
ご近所でも家の庭先、畑と色々なところで柿の実が見られます。
「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」は有名な俳人、正岡子規の俳句。
子規が法隆寺に訪れたとされる10月26日は「柿の日」なんだとか。
他にも
「柿落ちて、犬吠ゆる奈良の横町かな」
「渋柿や、あら壁つづく奈良の町」
「渋柿や古寺多き奈良の町」
といった俳句も詠まれ、どれだけ柿のある風景が風情あるものかをうかがい知ることができます。
無類の柿好きだったのかもしれませんね(笑)。
おいしい時期は10月下旬から11月にかけてで、今がまさに旬です。
甘くて華やかな果物も多い中、やや地味な印象の柿ですが栄養価は負けません!
ビタミンC、カロテン、ミネラル、カリウム、食物繊維がとても豊富。
ビタミンCはみかんの2倍ほどあるといわれ、これから訪れる寒い冬に備える養生になりますね。
他にも抗がん作用、風邪予防、貧血予防、血圧降下に効果が期待できます。
ただ、食べ過ぎは消化不良や体を冷やしてしまうこともあるので注意してください。
また、柿は渋柿と甘柿の大きく二種類に分けられています。
理由は柿に含まれるタンニンの成分で、渋柿はこのタンニンが溶けることで舌に伝わって渋みを感じます。
一方、甘柿はタンニンが溶けないので渋みを感じることがないといった違いがあります。
柿をカットすると黒い点々が見られることがありますが、あれが甘柿の溶けていないタンニンなのです。
おいしい柿の選び方は、
- 葉が4枚そろっていて、果実に張りつき隙間がない物を選ぶ。
- 果実は全体にしっかりと濃いオレンジ色がついていて、形がいびつでなく整っているもの。
- ずっしりと重く柔らかすぎない物。
どんどん柔らかくなってくるので購入したら早めに食べることをおすすめします。
シャキシャキの食感のまま保存するには、水を含ませたティッシュやキッチンペーパーを小さくたたみ、柿のヘタの部分にあててそのまま冷蔵庫で保存すると良いです。
品種も次郎(じろう)、愛秋(あいしゅう)富有(ふゆう)、平核無(ひらたねなし)、刀根早生(とねわせ)、甲州百目(こうしゅうひゃくめ)などなど、なんと1000種類ほどあるのだそう。
ほとんど漢字の名前ばかりで読みづらいのですが、それもまた柿らしくていいですね。
これからもずっと柿は柿らしく、和の心を感じさせてほしいと思います。